動物と関わる危険なお仕事があるのをご存じですか?ジェームズは危険な動物を捕まえる、動物捕獲作業員の仕事をしています。野生の動物を捕獲し、保護と管理をする仕事です。数々の動物を捕えてきた彼ですが、今までで最も過酷で体力と命を削った案件があります。それはアマゾンにある熱帯雨林にひそむヘビの巣穴を見つけだし、撤去することでした。ヘビの撤去には慣れているジェームズでしたが、なんとも一筋縄ではいかない仕事となりました。
捕獲を求めて
アマゾンに到着したジェームズはその異常な熱気、不吉な雰囲気に嫌な予感がしていました。今回のターゲットはヘビ。指定されたヘビの巣穴まで進み、そして聞いていた通り大きな穴を見つけました。すぐ足元に大きな暗闇が広がっています。ジェームズはすぐに底へ降りないことにしました。こちらが急に動くと、動物も驚いて反応してしまいます。静かにして動物たちに気づかれないようにゆっくり潜り始めました。
迫る危険
ジェームズが歩き続けると、穴の真ん中あたりにヘビが集まっているのが見えてきました。道を邪魔して、ワラワラと蛇たちが絡み合っています。ここで大きな音を立てたら命に係わる危険な思いをするだろう、そのヘビたちは自分の背丈よりも大きく、一歩間違えれば丸のみにされることを予想していました。自分がヘビの餌になるのを想像するだけで悪寒が走ります。こんなに大きなヘビは何をしでかすか分かりません、ジェームズは応援を呼び、鎮静剤を持ってくるよう指示しました。ダーツガンで一気に処理しようと、仲間に助けてもらおうと考えたのです。
大量のヘビ
応援はすぐにきて、仲間から渡された鎮静剤入りのダーツガンでそこにいるほとんどのヘビを仕留めることができました。そして一行はさらに奥の中へと入っていきます。そこで彼らは衝撃的なものを目にします。驚くべきことに、ヘビの巣穴は想像していたよりもさらにずっと深く、ターゲットのヘビの他にもさらに大量にいることに気づいたのです。こんなにも多くのヘビに対処できるだろうか、どのようにして仕留めたらいいだろうか仲間と相談をします。
安全性を求めて
実はここ数ヶ月、ジェームズと同僚たちはずっとこの巣穴を探していました。このジメジメとして安全とは言えない熱帯雨林の中で、彼らは過酷な日々を過ごしていました。その上、ヘビを見つけたときの入念な作戦を考えていたのです。ヘビの穴はいったいどこにあって、いつ見つけられるのか、とんと見当がつきませんでした。陸だと思っていても水中に潜んでいて、後ろから丸呑みされる可能性だってあるのです。
熱帯雨林での過酷な作業
ヘビは至るところに自分のすみかを作る生き物です。そのため、どんなに予想と計画を立ててもヘビの巣を探し出すのには膨大な時間がかかります。ちゃんとした道がなく、危険と隣り合わせのこのような場所ではさらに困難を極めました。ジェームズたちが考えていた最悪の事態は探している最中に落とし穴に落ちてしまうことでした。このようなところで穴に落ちてしまっては、助けなど来ないでしょう。
先住民を脅かさないために
アマゾンには先住民がいます。彼らは彼らが慣れ親しんだ土地、環境を非常に大切にし、外界からのものを脅威と認識します。自分たちと明らかに違う人々が入ってくると、自分たちの土地が占領されているように考え、こちらに向かって危害を加えてくる可能性もあります。また、彼らはヘビを崇拝しておりこの熱帯雨林に生息する大量のヘビたちをそのままにしておきたいのです。
政府からの圧力
しかしジェームズ達にとってこれは仕事です。ジェームズの会社はこの問題を早急に解決するよう政府から依頼を受け、今月末までに達成しなければ依頼料を払わないとさえ言われていました。そう、ジェームズ達の生活が懸かっていたのです。ジェームズはチームと別れて単独でヘビ穴を探すことにしました。しかしこれが大きな失敗でした。
逃げろ!
ジェームズが熱帯雨林の中を歩き始めたとき、植え込みの中に何かが見えました。彼はとっさに後ろに飛び退きその一点をじっと見つめました。見つめていた先にギラリと光るものが見つめ返しました。アナコンダだ!!チームからはぐれて一人で来ていたので、なんのバックアップもありません。真っ先に逃げようとしましたが、後ろから猛スピードでアナコンダが追ってきます。
先住民に気をつけろ
アナコンダに追いかけられながら、仲間とはぐれたことを後悔していました。このまま追いつかれてしまったらと考えると、心臓がバクバクします。無我夢中で走り回っていたとき、アナコンダが急にピタリとジェームズの後を追わなくなりました。やった!追い払ったんだ!とジェームズは安堵を感じました。しかし何か様子が違います。いったい何があったというのでしょう。ジェームズは辺りを見渡し気がつきました。彼は知らないうちに先住民のテリトリーに入ってしまっていたのです。それはとてもまずいことだということを、彼はすぐに気づきました。
ヘビの穴
先住民にとってジェームズは完全に別の民族です。見た目、言葉、行動そのどれもが先住民を怖がらせてしまいます。ジェームズはゆっくりと帰り道を探し回りました。そのとき彼は祭壇を見つけました。それはヘビの祭壇で、彼は不気味な思いがしました。祭壇の周りを歩いていると、今まで見たことがないくらい大きなヘビの巣穴がありました。その穴の中を見ると、巨大なヘビがいました。穴の中に近づこうとしたその時、ジェームズの背中に何かが刺さりました。それを確認しようとした瞬間、彼の意識は少しずつ遠のいていきました。
夜の儀式
目を覚ましたとき、彼は檻の中に入れられていました。何のために捕えられているのだろう。どうやらその夜、ジェームズは生贄としてヘビの儀式に使われるようでした。このままではまずい、と思ったジェームズは応援を呼ぶことにしました。そのためには持ってきたリュックサックが必要です。その中にはフレアガンが入っていて、それを打てば仲間に居場所を知らせることが出来ます。
仲間の助け
リュックサックは檻のすぐ近くにありました。ジェームズは中からフレアガンを取り出して、空に向けて発射しました。空高くに上がった光を見て危険を感じた先住民たちは、その瞬間に逃げ出しました。仲間はすぐにジェームズの元に集まり、彼を檻から出すのを手伝いました。彼らはこの地域を閉じて、ヘビの巣を取り除きました。しかし、あの祭壇はなんだろう、なぜ大蛇がいるのか、先住民が崇拝していたのか、調査する必要がありました。
穴を下ることに
ジェームズ一行は穴の中を進むことにしました。一番初めに立ちふさがる大きなヘビを鎮静剤で仕留め、その後ろに立ちふさがる大きなものに息をのみました。やっと大蛇を倒したというのに、そのさらに後ろには腹の部分が大きく膨らんだヘビが待ち構えていました。「何か入ってるみたいだぞ」と仲間が叫びました。確かにそうだ、よくみるとバランスの悪い異様な形に膨らんでいます。
調べることに
彼らはこの不格好な形のヘビについて調べる必要がありましたが、下手に近づくと攻撃される恐れがありました。そこで元寄りの獣医に連絡をとり、判断を仰ぐことにしました。「そのお腹の膨らみは妊娠だろう。この穴の中に大量の卵を産もうとしているのかもしれない」というのが獣医の見解でした。こんなところで大量に卵を産まれてしまっては捕獲しても間に合わない。
危険な仕事
彼らはこのヘビをなんとかしなければなりません。しかしどのように捕獲・管理すればよいのでしょうか。ヘビの膨らんでいる部分を調べるため、陸に上げて状態を確認する必要があります。獣医が到着して、ヘビにゆっくりと近づきます。隙を見て素早く鎮静剤をヘビの下半身に3回ほどうち、ヘビの動きが鈍くなるのを待ちました。ヘビは完全に気を失いダランとうなだれました。
手術の準備
獣医はヘビの体を触り、大きなふくらみの根源がヘビの胃の入り口に突き刺さっていることに気づきました。それはよく見なくても、明らかに不自然であることは一目瞭然でした。そして、身体に不似合いな大きなものが体内に詰まったままであるのは、消化できない物体である証拠です。やはり、ヘビのお腹を引き裂く必要があります。彼らはこの不気味な物体と向き合うことにしました。
手術の始まり
これはとても技術のいることでした。獣医は道具を使いヘビの膨らみ部分を切り開いていきます。皮膚、筋肉、そして食道に沿ってゆっくりと刃物を広げていきます。いったい何が入っているのだろうと期待していた彼らが見たものは、予想外のものでした。ヘビの中から出てきたのはプラスチックの箱でした。それはみんなを困惑させるものでした。冷蔵庫だったのです。
まさかの冷蔵庫
この冷蔵庫には生鮮品がはいっており、それを外に放置したところ、臭いにつられたこのヘビが丸呑みにしてしまったのであろう、というのが獣医の見解でした。ヘビの体を縫い合わせ、そしてこの生体を観察・管理するために追跡用チップを埋め込むことにしました。これでこの謎のヘビをいつでも追うことが出来ます。
ヘビとチップ
こうして彼らはヘビを保護しつつ捕獲することができたのです。アマゾンという広大な土地での冒険、先住民に捕虜にされるという経験、そしてヘビのお腹を切り開く…そのどれもが作業員や獣医にとって刺激的で記憶に残るものでした。彼らは見事に仕事をやり終え、そして偉大な功績を残したのでした。